SANS-SOUCI

人形・映画・小説。なんでもありの日記。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

琥珀の目

「魔法使いが来た」
「・・・・・は?」

エディがまじめな顔をして言うのを、トーマスは鼻で笑い飛ばした。
「ばかだなぁ、お前。いま、なんだって?魔法使い?」
「だって、本当に見たんだ」
「今、どういう時代か知っているのか?蒸気機関車が走って金を掘る時代だぞ?魔法使いなんているわけないじゃないか」
「でもここに来た。学校に」
エディが言い募ると、トーマスは口をぴたりとつぐんだ。体を低めて、エディを覗き込む。
「本当か?」
「うん。僕、学校に遅れてきたろう?」
「ああ、また寝坊したんだな、お前ったら!」
「違うよ。手伝いをしてたんだ。・・・・それで学校の前の坂を上ってたら黒いフードを着た人が前を歩いてて」
「それだけで魔法使いだと思ったのか?」
「ちがうったら。最後まで聞いてよ。その人は大きな荷物を持ってた、旅行かばんくらいのね。それを落っことしてぶちまけた」
「なかは何だった?」
トーマスは興味津々な様子で、先をせかした。エディは唇を湿らせて早口で話し始めた。休み時間ももうすぐ終わるころだった。
「たくさんのビンだよ、ほら薬品を入れるようなふたつきのガラスビン。中身はいろんな色の液体だった。僕のところにも転がってきたから拾って届けたんだ。『落としましたよ』って。その人はしゃがんで拾ってたから僕もしゃがんだ、フードをかぶった中が見えたんだ」
「それで!」
声が高くなったトーマスを、エディは手で制した。
「シー・・・。若い女の人だった。こんな山奥の学校に女の人が来るの変だろ?『どなたですか?』って聞いた。その人は『魔法使いだ』って」
「それだけ?」
こくこく頷くエディに、トーマスはあきれた顔をした。お前って単純だな、という顔だ。と、同時にチャイムがなった。
がたがたといすを鳴らして生徒たちが席に着く。エディとトーマスもついた。担任のタイラー先生が入ってくる。その後から、黒髪を揺らして女性が入ってきた。エディが小さく息を呑んだ。後ろのトーマスにすばやく囁く。
「あのひと、だっ」
大きな琥珀の目が教室を見回し、エディで止まる。がちっと音がするように視線が絡まった。く、と相手の口が上がる。
「初めまして。マリナ・ランスです」
スポンサーサイト
別窓 | 自作小説 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<よりによって | SANS-SOUCI | 『嫌われ松子の一生』>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿

 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| SANS-SOUCI |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。